santosのカメラ・機材日記

santos のカメラ日記です。不定期更新ですが、マイペースで書いてます。

SONY α7RⅢ で動画+写真 の仕事をこなすコツ vol.34 〜 今更聞けない PP ピクチャープロファイル  基本その5〜

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皆さま、こんにちは。Santos です。

 

「今更聞けない PP ピクチャープロファイル 」基本その5 ということで、その4からの続きです。

 

 

 今回もこのグラフを使うので再度転載します。

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SONY社技術資料より転載です)

 

 

 

それでは、今回は α7RⅢ でのカラーモード(色域のこと)の一覧を見ていきます。

 

カラーモード

Movie

ガンマが[Movie]のときに適した色合い (ピクチャープロファイルを使用しないときの、動画用の標準の色再現)。

Still

ガンマが[Still]のときに適した色合い (ピクチャープロファイルを使用しないときの、静止画用の標準の色再現)。

Cinema

ガンマが[Cine1]、[Cine2]のときに適した色合い。

Pro

ソニー放送用カメラの標準画質に近い色合い([ガンマ]の[ITU709]と組み合わせた場合)。

ITU709マトリックス

ITU709相当の色合い([ガンマ]の[ITU709]と組み合わせた場合)。

白黒

彩度を0にし、白黒で撮影する。

S-Gamut

[ガンマ]が[S-Log2]のときに使用する、撮影後のグレーディングを前提とした設定。

S-Gamut3.Cine

[ガンマ]が[S-Log3]のときに使用する、撮影後のグレーディングを前提とした設定。
[S-Gamut3]よりも実用的な範囲に色域を抑え、使いやすさを重視した設定です。広色域な[S-Gamut3]が必要でない場合にはこの設定をおすすめします。

S-Gamut3

[ガンマ]が[S-Log3]のときに使用する、撮影後のグレーディングを前提とした設定。
[S-Gamut3.Cine]よりも広色域な設定です。BT.2020などの広色域なフォーマットに変換する場合に適しています。お使いのカメラによっては、[S-Gamut3]で表現できる全色域を表現できないことがあります。

BT.2020

HDR撮影用のカラーモード。 [ガンマ]で[HLG][HLG1][HLG2][HLG3]を選択したときの標準的な色合い。 HDRの規格であるITU-R BT.2100相当の色域仕様。上記ガンマカーブを選択したときのみ選択可能。[BT.2020]選択時、カメラの仕様によって、カラーバーは正しく出力されない場合があります。

709

HDR撮影用のカラーモード。 [ガンマ]で[HLG][HLG1][HLG2][HLG3]を選択して、HDTV形式(BT.709)の色で記録する場合の色合い。上記ガンマカーブを選択したときのみ選択可能。

 

上の表はSONYさんの公式の資料からの転載です。

 

これを見ると、カラーモードでは各種のカラースペースが用意されていて、ガンマカーブとの組み合わせは自由にできるようになっていることがわかります。

 

ここで「カラーモード」なんていう名前にするからわかりにくいんや!と個人的には言いたいのですが、、、「カラースペース」とか「色域」とかにしてくれたらいいのにね、と個人的には思うところ。。ですが、これはですね、これまでの業務用カメラに搭載されているピクチャープロファイルの時代から使われていた言葉で、その流れを汲んでカラーモードという言葉が使われているものと思われます。

 

このガンマカーブの時にはこのカラースペースがおすすめよ、という書き方がされているのは、ガンマカーブが輝度を定義していて、カラーモードが色域を定義しているからであります。理屈上での「輝度と色域を分けて考えるのよ」という事に見事に対応しているわけで、ピクチャープロファイル機能がまさにプロのためのものだ、ということを示していると感じます。この記事を書いている2018年3月時点では、この設定方法というのは非常に合理的だなと思うわけです。

 

まあ、要するに、SONY社から言わせれば「ピクチャープロファイルを使いこなすからには、これぐらいは理解しておいてね」というメッセージのようにも思ったりいたしますw

 

こんなのが市販カメラに乗ってしまっているわけで、それこそ コンデジのRX100M5などでも使えたりするわけなので、驚きであります。

 

ちなみに、この状況がやはりややこしいよね、となったのかどうかわかりませんがw、、、2016年7月に、HDRの国際規格「ITU-R BT.2100」が新たに制定されました。(ここで規定されてるガンマカーブはまた新たなガンマカーブになってますので、これにも注意が必要なんですけどもね。。ややこしい!!)

 

これにより、HDR作品撮りの設定はよりシンプルにできるようになってくるんだろうね、と思うわけです。これから先に発売される新機種にはこうした新規規格がそのうち乗ってくるのかあと推測してます。

 

さて、ピクチャープロファイルの話に軌道修正しましょう。

 

ピクチャープロファイルを勉強していくと、途中でどんどん泥沼にはまるような感覚になってきます。それは、このx,y,による色表現と、H,L,S の色表現の概念が混じっているからではないかとワタクシは考えています。

 

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(こちらもSONY社の技術資料より転載です)

 

はい、こちらも色概念の図です。

 

こちらは、Hue( ヒュー / 色相 )、Saturation(サーチュレイション / 彩度また は飽和度)、Luminance(ルミナンス / 輝度)による3つの軸による色空間の概念図です。

 

色空間の表現方法には幾つもの表現方法があり、加色法もあれば減色法もあり、例えば、RGB、CMY (K)、Lab、などもよく利用される表現法であり、xyzもHSLもその一つと考えて良いかと思います。

 

 

 

ピクチャープロファイルを理解する上では、カラーモードでの定義色領域については x,y のグラフで理解して、各種ガンマカーブのカスタマイズにはこのHSLの色表現で理解すると良い、と思います。

 

各論点によって、どの色表現が適しているか、ということで表現法を使い分けている、ということであります。

 

長々と、、、長文になりましたが、、、これでもかなりはしょっての解説でございまして、、、まずはこれが腑に落ちるまで繰り返し頭の中を整理していただければ、、、色調整への基礎体力がついてくるかとおもいます。

 

それでは、次回こそはkneeについてお話しいたしましょう。それでは、ごきげんよう

 

 

 

 ●補足:ガモットという言葉

ガモットという言葉もよく出てきます。これについてちょっとだけ補足いたします。

色域(カラースペース)とガモットの違いについてですが、こう考えてください。

色域とは、色空間全体のことを指すのに対して、各デバイスが表現可能な色の領域のことをガモットと呼びます。

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例えば、この図の左のグラフで言うと、これは3つの三角形がカラースペースを表現しています。このカラースペースというのは「理論値」であって、このカラースペースを各デバイス(たとえばモニターやテレビ)が100%表示しきれるわけではなく、各モニター特有の表示できる色領域というものが別に存在するわけです。その各デバイスに特有の色表現可能空間のことを「ガモット」とよんでいます。

 

似通っているため、混同して普通なのですが、、、このようにカラースペース、とガモットというのが業界的には使い分けられているので知っておくとよいかと思います。