santosのカメラ・機材日記

santos のカメラ日記です。不定期更新ですが、マイペースで書いてます。

SONY α7RⅢ で動画+写真 の仕事をこなすコツ vol.33 〜 今更聞けない PP ピクチャープロファイル  基本その4〜

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皆さま、こんにちは。Santos です。

 

「今更聞けない PP ピクチャープロファイル 」基本その4 では、前回のガンマカーブから関連して、輝度と色域、について理解を深めたいと思います。これに関連して、少しだけHDR、BT.2020、BT.2100 、HLG、HSL にも触れていきます。

 

前回終わりで「次回はKneeポイントについて言及する」とアナウンスをしていましたが、その前に輝度と色域について触れておく方が理解がしやすいかなと思いまして。

 

前後してすみません。

 

また、書いていくと内容的にかなりボリューミーになったので、2回にわけてお届けします。

 

ということで、輝度、色域(カラースペース)についてのお話です。

 

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SONY社技術資料より転載です)

 

はい、カラースペースと、カラーボリュームについての概念図をSONYさんの技術資料より引っ張ってきました。これがカラースペース、色域ってやつです!!

 

見たことありますよね、こうゆう図。

この図、昨今ではヨドバシカメラの店頭でもこれがPOPになって置かれてたりもするぐらいポピュラーになりましたよね〜。

 

で、これを見て「ふむふむ、なるほど!」と理解できる方はもうこの回は読まなくても大丈夫っす!!!!!次回をお楽しみに〜。

 

ということで先に進んでいきます。

 

なぜ先に色域について話しておこうと思ったかと言いますと、昨今話題になっている「HDR」の存在があるためです。これが非常に紛らわしいことでして、色域とHDRというのは分けて考える必要があったりします。ということでちょっとだけHDRについて触れておきます。

 

HDRとは、High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略称です。

 

今現在のテレビ放送をイメージすればいいのですが、通常の映像はSDR(スタンダードダイナミックレンジ)と呼ばれています。

 

それに比べてより広い明るさの幅(ダイナミックレンジ)( = より広い輝度レベル)を表現できる表示技術です。

 

SDRが輝度レベル100%なのに対して、HDRでは1000%に拡張されますよ、というものです。


それに対して色域というものについて、前回補足でBT.709(Rec 709)について補足しましたが、これまでの709に対して新規格をBT.2020と言います。この新しい色域についてはすでに国際基準が策定されてまして、NHKBBCで共同で策定したのがHLGという規格です。これは今のテレビとの互換性を持たせたガンマカーブでして、α7RⅢでサポートしているのもこのHLG方式です。→ガンマカーブのリストの中のHLGという名のカーブがそれにあたります。

 

α7RⅢでは、カラーモードとしては今のテレビで表示可能なBT.709と4Kテレビ用のBT.2020を選択できるようになっています。

 

BT.2020で色域が広がるので、より立体感があり鮮やか映像が楽しめるようになる、というわけです。

 

 上の図の左側のグラフを見てください。緑色の三角がBT.709 つまり、今現在のテレビ放送の色の領域(色域)となりまして、新しい規格のBT.2020 は赤い三角の部分となり、BT.709 にくらべて大きな三角の領域になっているのがわかりますね。よって、色域がBT.2020で拡張されているよ、ということが直感的にわかるわけです。

 

ということで、この図について理解を深めることが、色域の理解につながりますので、ちょっと長文になってしまうかと思いますが、、、

 

 では、この左の図のグラフについてもう少し深掘りしてみましょう。

 

このグラフ、なんとなく「色の範囲を示しているのだな、」というのは見た感じで直感的にわかるかと思うのですが、具体的に何の色の範囲を示しているのか、ということなんです。

 

これは「人間の目が認識できる色の全領域」が色のついている円弧範囲となっています。つまり、色のついた円弧範囲外のグレー部分は不可視光であり、例えば赤外線や紫外線にあたる領域になります。

 

X軸方向には 小文字の 「x」、Y軸方向には小文字の「 y 」が記されていますが、XYZ(Yxy)表色系とよばれる色表現法からきています。これは現在CIE標準表色系として各表色系の基礎となっており、この表現方法は人間の目が持つ特性の3刺激値が根本となってまして、色度図を使って色をYxyの3つの値で表します。


Yが反射率で明度に対応し(ここで言うところのHDRの概念がそれにあてはまる、3次元的に表せばカラーボリュームとなる)、xyが色度になります。無彩色は色度図の中心にあり(これが白色点)、彩度は周辺になるほど高くなります。

 

このあたり、やりだすと終わらないくらいボリューミーなので、参考サイトとしてコニカミノルタ社のサイトを紹介しておきます。以下にリンクをはります。

 

www.konicaminolta.jp

 

ここに非常に詳細な解説が書かれてまして、このページが参考になるかと思います。

 

 

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コニカミノルタ社の解説サイトから抜粋により転載です)

 

人間の目に見えるのは可視光線領域の波長の光です。いわゆる、虹の色の範囲が可視光と考えるとわかりやすいかと思います。光というのは色そのものではありません。

 

「目に光が入ると網膜が刺激され、視感覚を起こす」わけです。

 

目に入ってきた光に目の網膜が刺激を受け、脳が反応することによって初めて「色」という概念でもって認識されるのです。

 

色の全成分(赤・橙・黄…)の中の「赤R」・「緑G」・「青B」の3つの色が一般に、光の三原色 (RGB) と呼ばれています。

 

人間が色を知覚できるのは、この三原色の光にほぼ対応した感覚(センサー となる細胞)が人間の目にあるからと考えられてます。

 

学術的なことはこれぐらいにしましてですね、、、

 

平たく言うと「人間の目の色の見え方の標準はこれだよ」というのがわかっていて、それをベースにしたYxy表現は人間が理解しやすいグラフとして表現されているので、その色表現を使うとわかりやすいよね」ということになり、上記のグラフの表現の仕方がされるようになった、ということであります。

 

よって、個人差は当然ながらあるものの、人間の目が認識できる色全域の中で、なるべく多くの範囲をカバーできれば、現実世界により近づいた映像表現ができることになり、没入感やリアリティーをより感じるようになるわけです。

 

これが 色域 と呼ばれるものの概念です!

 

BT.2020 では、「色域 = 色の鮮やかさ」について拡張されたわけですが、そこには「明るさ」の定義がありません、そこで「HDR」という規格により、明るさについても定義することで「カラーボリューム」ということで立体的な色空間を定義しているということで、上記図の右のグラフがHDRの概念図として示されているわけです。

 

さあ、ややこしくなってきましたね〜。。。

 

ということで、覚えておくことはこの2つです!!

 

  • BT.2020 がより広い色域を定義していて、HDRはより広い明るさ(ダイナミックレンジ)を定義しているので、分けて考えてね。
  • 「4K収録で HDR やりたいぜ!」となったら、カラーモードを BT.2020 にして、ガンマカーブを HDR を選ぶのよ。

 

この2つをまずは覚えておくと良いかと思います。

 

 

 

それでは、続きは次の回にて。